南米初開催のリオデジャネイロ五輪は開幕を約4カ月後に控え、準備のほころびが目立ち始めた。経済低迷による工事計画の見直しや遅れに加え、ルラ前大統領も捜査対象となった大規模な汚職事件が五輪関連の建設事業に飛び火する様相を示している。政治の混乱も続いており、インフラ整備の計画が履行されない恐れが強まっている。

 大会組織委員会は24日、4月末から予定されていた自転車トラック種目のテスト大会中止を発表した。会場となる市西部バーラ地区のリオ五輪ベロドロームの建設は、資材調達の問題などで大幅に遅延。3月に入って担当の事業者が工事継続を断念し、下請け業者に委ねる事態となり、完成は5月末までずれ込んだ。

 組織委はテスト大会の代わりに、6月に国内選手による試走と計時システムの確認を行う。ただ、五輪の記録配信などを担うアトス社の担当者は「本当はボランティアやITチームの動き方もテストしたいので影響は大きい」と運営面の不安を示した。

 地元メディアによると、大会期間中の観客輸送の「生命線」になる地下鉄新路線の工事をめぐり、入札に不正疑惑が浮上。市北西部デオドロ地区の建設工事でも裁判所が業者への建設費支払いの一時差し止めを命じた。ともに汚職事件に絡んだ動きとみられ、捜査が始まれば工事への影響は避けられない。

 州政府は地下鉄の完成に懸念を示す国際オリンピック委員会(IOC)に対し、4月15日に建設状況の最終報告をする予定。完成が保証できない場合は、バス高速輸送システム(BRT)の臨時路線でカバーする対策も出ている。