世界6位の錦織圭(26=日清食品)が、日本男子のシングルスで戦後初めて“聖地”センターコートで勝った。同547位のベネトー(フランス)を4-6、6-4、6-4、6-2の逆転で退けた。この1勝で4大大会のすべてのセンターコートで勝利。3回戦では同42位のクズネツォフ(ロシア)と対戦する。

 テニスの聖地がついに錦織にほほ笑んだ。マッチポイントを決めると、力強く右手のガッツポーズで応えた。1セットを落としてからの逆転勝ちに「いいプレーが戻ってきた」。14年には世界25位になった難敵を4セットで葬った。

 第1セットはスタートからエンジン全開の相手に受け身に回った。「彼がどんどん攻めてきた」。自分のサービスゲームをキープするのに苦労し、第10ゲームで、ついに耐えきれなくなった。フォアのボレーをミスし、自分のサーブを落とすと第1セットを失った。

 しかし、第2セットからはテンポを速めに上げ、自ら仕掛けた。「攻撃的に行こうと心がけた」。ネットプレーにも出てプレッシャーをかけた。第7ゲームで、この日初めて相手のサービスゲームを破ると、そのまま主導権を握った。最後は「疲れているようだった」相手に畳み掛けた。

 痛めていた左脇腹は「そんなに悪くなかった」。前日予定されていた2回戦が、降雨でこの日に順延されたのが大きかった。1回戦から2日空き「休めたことはラッキーだった」と、恵みの雨に感謝した。1回戦で、時速170キロだった第1サーブの平均速度は180キロまで上がっていた。

 10年の1回戦でナダルと対戦して以来、2度目の聖地だった。当時は、ナダルの名前で入ったセンターだが、この日は“錦織”の名前で聖地をつかみ取り、勝利につなげた。名誉と勝利の2つを見事にものにした錦織が、自身初のベスト8進出にのろしを上げた。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 1日午後7時半~、2日午前0時~、WOWOWライブ。男女シングルス2、3回戦ほか。生中継。放送時間変更の場合あり。