京産大が、残り数秒で勝利を逃した。

 前半8分に中央ラックからNO8山本勇太(4年)が先制トライを挙げると、BKにタレントがそろう同大の攻撃を激しいタックルで封じ込めた。下馬評は圧倒的に同大優位も、前半は21-7とリードして折り返す。

 だが後半開始5分までに2トライを許し、あっさりと21-21の同点になった。

 見せ場は後半13分だ。京産大伝統のたたき上げで強化したスクラムで同大FW陣を圧倒。3度の組み直しの後、SH貴島由良(1年)がサイドを突破して再び突き放した。その後、再度同点に追いつかれながらも、SO高原慎也(4年)が同33分にPGを決めて31-28と勝ち越し。そのまま1分間の後半ロスタイムに突入。元日本代表CTBの元木ヘッドコーチがサイドライン際まで来て大声で指示を出し続け、勝利は目前だった。しかし、ラスト1プレーでこの試合初めて逆転を許し、その直後にノーサイドの笛が響いた。

 大西健監督は「この子たちに勝たせてやりたかった。格下は勝たないと強くなれないんです。惜しかったでは、強くなれない」と悔しそうに天を仰いだ。

 終了間際に京産大にアドバンテージを与えられながらも、主審はそれを流して同大ボールにする不運な判定もあった。関西大学リーグの開幕戦で実現した90年代の黄金カードは、京産大にとって悲劇的な結末だった。