引退後もメダリストとして輝く。リオデジャネイロ五輪競泳女子200メートルバタフライで2大会連続銅メダルの星奈津美(26=ミズノ)が4日、都内で会見を開き、現役引退を表明した。今後は所属するミズノのアシスタントコーチに就任するが、中村監督からは「管理職になって会社に貢献してほしい」と期待された。

 決してエリートではなかった。小学校時代はジュニアオリンピックの出場経験もない。それでも先輩から足首の柔軟性の重要性をアドバイスされると、テレビを見ながら、お風呂に入りながらも足首を回した。「1つのことを決めたらやり遂げる性格」(星)で愚直に努力を重ねた。高校時代にバセドー病を発症。薬を飲みながら競技の第一線で活躍。2年前の手術も乗り越え、五輪2大会連続メダルを達成した。

 引退後は選手支援、子供たちへの水泳教室はもちろん「水着の開発にも携わりたい」と、新たな夢を描く。8月に結婚した夫からは「強くてすてきな女性になってほしい」と現役時代から言われ続けてきた。「強い1人の女性として自立できるようにしたい」。不屈の闘志と常に謙虚な人柄は第2の人生でも必ず生きる。【田口潤】

 ◆星奈津美(ほし・なつみ)1990年(平2)8月21日、埼玉県越谷市生まれ。1歳で水泳を始め、春日部共栄高3年時の08年北京五輪に出場。12年ロンドン五輪の200メートルバタフライで銅メダル。14年4月ミズノ入社。昨年の世界選手権では、同種目で日本女子初の金メダル。今年のリオデジャネイロ五輪で2大会連続の銅メダル。8月の誕生日に一般男性と結婚。164センチ、56キロ。