「お笑い」スケーター坂本です! 女子SPで坂本花織(16=神戸ク)が、完璧な演技で国際スケート連盟(ISU)非公認記録ながら自己ベストを更新する67・45点の高得点をたたきだし、首位発進した。神戸出身で、「しゃれ」を挟んだトークが光る、フィギュア界では珍しい選手。とことん楽しむ演技で、初優勝に近づいた。昨季世界ジュニア女王の本田真凜(15=大阪・関大中)は64・86点で2位につけた。

 大舞台に坂本は「ドキドキして、足が震えた」。さらにリンクが滑りやすく、スピンで足がぐらつく。それでも「楽しく滑るしかない!」。3回転ループ、3回転フリップ-3回転トーループ、2回転半とジャンプをすべて成功。高い跳躍に会場が沸く。後半はジャズのリズムに乗った元気なステップで盛り上げた。予選の西日本選手権で出した66・25点を上回る今季自己ベストをマーク。「自分を超えられて、良かった」と笑顔を見せた。

 スケールの大きいジャンプと同様、キャラも魅力的だ。シャイな選手が多いフィギュア女子の中では珍しく「笑い」のセンスが光る。

 近畿選手権の際には、今春から始めたダイエットについて「いつおデブさんになっちゃうか分からないから夜はごはん抜き。どんぶりだと最悪! 上の具だけ! カレーの時もライス抜きでルーだけ!」と説明。この日は精神面が強い理由を「(中野コーチに)圧をかけて鍛えてもらっているから」とコーチの顔マネをしながら軽妙に返す。今季は演技も、しゃべりも絶好調だ。

 同じくジュニアGPファイナル出場を決めているライバル本田、紀平には10月の近畿選手権で点を離され3位も、続く西日本選手権では2人を抑えて優勝。「いい流れに乗りたい」と話していた通り、演技に勢いがあふれる。ケガで思うように練習が積めなかった昨季とは違い今季は「攻めていけている」。「てっぺんがいい」と今日20日のフリーで逃げ切りを狙う。【高場泉穂】

 ◆坂本花織(さかもと・かおり)2000年(平12)4月9日、神戸市生まれ。4歳でスケートを始める。15年世界ジュニア選手権6位。同全日本ジュニア選手権5位。今季は、ジュニアGPフランス杯2位、日本大会で優勝し、初のファイナル出場を決めた。156センチ。血液型B。特技は折り紙。