再び羽生が伝説を作る。今日25日に開幕するフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ最終戦NHK杯の公式練習が24日、会場の札幌市真駒内セキスイハイムアイスアリーナで行われた。表彰台に立てば12月のGPファイナル(フランス・マルセイユ)進出が決まる羽生結弦(21=ANA)は、ショートプログラム(SP)、フリーともに世界歴代最高得点を出した昨年大会以上の演技が「できる状態」と力強く宣言した。

 1年前、長野で行われたNHK杯で羽生はノーミスの“神演技”を見せた。この日の練習後に行われた会見では、昨年の“再現”あるいはそれ以上の演技ができるかとの問いに「はい。できる状態です」と、自信たっぷりに答えた。

 状況が重なる。昨年も第1戦のスケートカナダでミスを連発し、2位。悔しさを挽回するために1カ月間練習を積み、NHK杯でSP、フリー、合計それぞれで世界歴代最高得点をマークした。今年も失敗が重なり2位に終わったスケートカナダ後、拠点のカナダ・トロントで「やれることをやってきた」。この日午後の公式練習では4回転ループを含む4回転ジャンプを次々と成功させた。フリーの曲をかけた通しの練習でも、他の選手と衝突しそうになって回避した連続ジャンプ以外すべて着氷。調子の良さをうかがわせた。

 刺激を受ける選手がいるのも一緒だ。昨年は4回転ルッツを跳ぶ中国の金博洋の存在に発奮していたが、今回は4回転ルッツに加え、4回転フリップも跳べる米国の17歳、ネーサン・チェンがいる。「いい刺激をもらっています。自分は4回転ループですが(チェンの)ルッツ、フリップの方が難易度が高い。正直にすごいジャンプだな、と思っています」。自分より難しいジャンプを跳べるライバルが羽生の心を燃やす。

 目指すのは「今できる最高の演技」。昨季と似かよった状況で迎えるNHK杯で、再び伝説を残す。【高場泉穂】