近畿日本鉄道は10日、近鉄花園ラグビー場(大阪府東大阪市)の施設を東大阪市に無償譲渡する方針を明らかにした。土地については、東大阪市が買い取る意向を示し、協議が続いている。

 2019年に日本で開かれるラグビーのワールドカップ(W杯)で花園を会場の一つとするため、東大阪市はW杯開催に必要な夜間照明などの設備を整備する考え。市が施設を所有することで、国の補助金を受けられる可能性もある。

 土地の価格は50億円前後で調整しているもようだ。近鉄は当初、土地を無償で貸す案を示したが、東大阪市から有償で取得したいとの申し出があったという。

 花園ラグビー場は全国高校ラグビー大会が開かれるなど「ラガーマンの聖地」として名高いが、赤字経営が続いている。老朽化で維持費も膨らんでおり、東大阪市が費用の一部を助成している。

 近鉄は1兆円を超える負債を抱え、過去にもプロ野球・近鉄バファローズをオリックスと合併させて赤字の球団経営から撤退するなど、財務の健全化を進めている。W杯に向けた新たな設備投資は難しいと判断した。

 3月7日には、今後の成長の柱と位置付ける高さ日本一のビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の全面開業を控えている。