東京五輪招致へ思わぬ「弱点」が発覚した。国際オリンピック委員会(IOC)が4日にアテネで開いた理事会で、2016年夏季五輪開催地の第1次選考を行い、東京は立候補した7都市中トップの総合評価で通過した。しかし、「世論調査」の項目では59%と1次通過した4都市中最下位。国民の6割にも達しない低い支持率に、招致委員会委員長を務める東京都の石原慎太郎知事(75)は5日の会見でメディアに協力を訴えた。開催地は来年10月2日のIOC総会(コペンハーゲン)で決定する。

 64年以来2度目の五輪開催を目指す東京は、書類による1次選考を危なげなく通過した。各都市は、IOCからの質問25項目に答える形で開催計画の概要を説明。IOCは今年1月に提出された申請ファイルをもとに、リポートを作成した。調査結果は、比較できる11項目にまとめられ、東京は7都市で最も高い総合評価を受けた。

 11項目中、10項目が2位以内の高評価を受けた。しかし「政府保証、法的問題、世論」の項目は4位。特に「世論」は7都市中6位の59%で、1次通過した4都市中最下位だったことが判明した。これはIOCが独自に調査したもので、東京の弱点が露呈された形になった。

 石原知事は、会見で世論対策を問われると「君らのせいだよ。メディアが足を引っ張るから。同じ日本人として、みんなでやろうって、もう少しキャンペーンしてくれよ」と訴えた。招致本部の中嶋計画調整担当部長は「総合評価で高いレベルの結果が出たので、招致の可能性は高い。弾みがついたので、これをバネに(世論を)上げていきたい」と話した。

 もっとも1次選考の結果は、開催都市決定には直結しない。12年の五輪招致では、1次でトップだったパリが、最終選考でロンドンに敗れた。だが世論の盛り上がりが、プラスに働くことは事実。石原知事は「まだ、あんまり跳び上がって喜ぶことではない。うぬぼれではないんだけど。これから複雑で醜い競争が始まる」と気を引き締めていた。【佐々木一郎】