<高校総体陸上東海大会>◇初日◇20日◇岐阜メモリアルセンター◇決勝10種目

 男子400メートルで伊堂駿(浜松商3年)が、47秒73の自己ベストで東海初制覇を飾った。本来は200メートル専門で400メートルの競技歴はわずか3カ月。今大会が5回目の出場で、過去4回もすべて自己ベストを更新し、記録を伸ばし続けている。未完の大器が全国総体(7月29日開幕、埼玉・熊谷市スポーツ文化公園陸上競技場)で上位進出を狙う。また、男子ハンマー投げでも徳富誠(引佐3年)が、大会初制覇。この日は県勢20人が全国切符を手にした。

 苦しさと、うれしさで声にならなかった。400メートルに挑戦し始めてわずか3カ月の伊堂が、東海の頂点に立った。スタート直後は「経験がないから」周りの様子を見ながら、ゆっくりと入った。だが、体が勝手に反応した。80メートル付近で「いける」。確信を持った。200メートルでギアを入れ替えトップスピードに乗った。そこからは独走。自身初の東海初制覇を圧勝で飾った。

 レース終了3分後、ようやく声を発した。「いやー、きついっす。でも生まれて初めて完全燃焼できた」。息を切らしながら、喜びをかみしめて、ゆっくり話した。

 初生小4年から同校のクラブで陸上を始め、8年間、200メートル専門だった。転機は今年4月。200メートルで記録が伸びないことと、リレーで全国に行くために「走ったことがなかった」400メートルを始めた。ただ、毎日3時間の練習は、すべて200メートルのみ。400メートルは「大会で走るだけの競技」(伊堂)にすぎない。山下徹也監督(41)も「タイムはそこそこ出ると思ったけど、まさかここまでとは…」と、驚きを隠せなかった。

 200メートルでは昨年の同大会6着で全国総体に出場し、準決勝で敗退。明日22日は“本職”の200メートルに臨む。「200メートルでも全国行かないと…。でもこれからは、少しは、400メートルの練習をしようかな」と笑った。最上級生になった4月。目立つためとチームがどこよりも輝くようにと「黄金のスパイク」を購入した。「全国でも輝きたい」(伊堂)。今夏、伸び盛りの新星が全国を席巻する。【鶴智雄】