<東海陸上選手権>◇30日◇静岡・草薙総合運動場

 女子200メートルで富士見(静岡)渡辺美里(3年)が、24秒50で優勝した。3位に入った全国高校総体後、競技を始めてから初めて2週間の長期休養。心身ともにリフレッシュし、2位に0秒56差をつけた。

 渡辺が完全復活した。2位の大学生に0秒56差をつける余裕の走りで優勝。「今日はタイムより、3位以内で日本選手権の出場権がほしかった。先生から『楽しくやってこい』と言われていたけど、その通り楽しくできました」。笑顔で快勝を振り返った。

 ほぼぶっつけ本番だった。8月上旬の全国高校総体では100メートルで4位、200メートルで3位に入ったが、左太ももを痛めた。左足をかばううちに、右足も痛みが走るようになった。優勝への重圧も重なり「走りたくない」と、精神的なスランプにも陥った。そこで、2週間の休養を取った。小学校2年で陸上を始めてから最長期間、トラックを離れることにした。

 しばらくすると、陸上の虫がうずき、ライバルたちの動向が気になった。「合宿に合流したとか、走り込んでると聞いて、やりたくなった」。尊敬する先輩の佐野布由実(筑波大1年)からの「頑張れば大丈夫」という助言に、進学を希望する大学の指導者から掛けられた「4年後の五輪を目標にしよう」との言葉も支えになった。左足にはテーピングを施し、再びトラックに立った。力みが取れ、軽快に走った。左足には痛みを感じず、レースを終えることができた。

 今後は、大分国体(9月27日開幕)の100メートルに照準を合わせる。「富士見として出られるのが大きい。3年間、村井先生にお世話になったので」。育ててくれた村井貴之監督(44)への恩返し、高校生活の集大成へ。心身ともにたくましくなった渡辺が、再び走りだした。【斎藤直樹】