日本男子テニス界のエースに「携帯禁止令」が出された。国別対抗戦デ杯アジア・オセアニアゾーン1部2回戦・日本対中国(3月6~8日、大阪・なみはやドーム)の会見が24日、大阪市内で行われ、世界93位の錦織圭(19=ソニー)ら日本代表の4選手が発表された。日本の竹内映二監督(49)は、先日の試合中に錦織の携帯電話が鳴ったことを問題視。コート内へ持ち込まないよう注意する考えを明かした。また錦織人気によるフィーバーを早くも警戒。運営側は厳戒警備態勢を敷くことになった。

 国内代表デビュー戦を迎える錦織に“厳戒指令”が下った。会見に出席した日本チームの竹内監督は「携帯は要注意ですね。念のため本人に注意しておきますよ」と大まじめに語り、携帯電話をコート内に持ち込まないよう事前にチェックする考えを明かした。

 無理はない。先週の米メンフィスでのツアー大会初戦。錦織は試合中にベンチに置いた携帯が鳴る“失態”を犯し、集中力が切れてストレート負けした。そのことを踏まえた竹内監督の発言だった。試合中は外部との連絡が禁止されており、うっかり電話に出ると反則。審判団の判断によってはポイントのペナルティーが科され、勝敗に影響を及ぼす可能性がある。

 そんな初歩的なミスは考えにくいが、悲願の25年ぶりの世界グループ復帰には錦織の活躍が必須。「携帯禁止令」は念には念を入れたものといえそうだ。

 ピリピリした厳戒ムードは、監督だけに限らない。急成長で日本のエースとなった錦織。卓球の福原愛との“熱愛騒動”など話題も振りまき、一躍人気者となった。そして国内では昨年10月のAIGオープン以来の試合となる。それだけに注目度は高く、既に初日(6日)と最終日(8日)の前売り券約1200枚は発売から10日ほどで完売。同じ中国戦を同会場で行った06年は4割程度の観客数だった。今回は満員が予想され、運営側は厳戒態勢を敷くことになった。

 運営する大阪府テニス協会の関係者によると、国内のデ杯では初めて専門の警備会社に委託。警備員は約40人とこれまでの3倍増。また日本の4選手には1人ずつ専用ガードマンがつく。特に錦織に対してはホテルと会場を行き来する車の中にもガードマンを配置する徹底ぶりだ。

 会見に集まった約20人の報道陣を見渡した関係者は「いつもの3倍くらい。これも錦織君のおかげですね」と驚いたほど。昨年のインド戦で日本デ杯史上最年少勝利を挙げた錦織。ジュニア時代以来となる「大阪上陸」も重なり、注目を一身に浴びそうだ。【大池和幸】