<スキー・全日本選手権:アルペン>◇2日目◇25日◇岩手・雫石スキー場

 みちのく勢が女子スーパー大回転で大活躍だ。大場朱莉(あかり、日大4年=日大山形)が、1分39秒54で2位表彰台をゲット。3位には1分40秒84で、鳥谷部貴絵(岩手大1年=盛岡三卒)が入った。同種目の男子では長井遼(中大4年=秋田・角館)が、1分36秒19で東北勢最高の7位に入った。

 「怖いと思わない」。女子ではためらってしまうスーパー大回転の急斜面でも、大場は思いきり攻めた。極力、エッジを立てず、速度を落とさずに滑降した。「今シーズンは調子がいいです。最終学年になってやっと…」。表彰台に立てたうれしさと同時に、過去の思い出もよみがえった。

 大学1年の11月に右ひざ前十字靱帯(じんたい)を断裂。すぐに手術し1年間を棒に振った。「2歳から始めたスキーで冬の間、スキーを履かなかったのは初めてでした。つらかったです」と大場。2、3年時もひざを気にしてか、どれだけ練習しても結果は出なかった。それでも両親を思い浮かべながら、耐えた。

 小、中学時代はほぼ毎日、自宅から車で1時間かかるオニコウベスキー場で両親の指導を受けた。父一宏さん(43)はインカレ3位、母愉里さん(42)は全中で優勝し、ナショナルチームに選ばれたこともある。その母も、足の複雑骨折で高校時代を棒に振る経験があった。

 「それに比べたら私のけがは、大したことない」と大場。ようやく復活した今季は、スーパー大回転で1月の学生チャンピオン大会優勝、インカレでは2位に輝いた。大学4年間を振り返り大場は「両親のすべてに感謝です」と話し、胸に輝く銀メダルを見つめた。【三須一紀】