<体操:世界選手権>◇5日目◇17日◇ロンドン・O2(オーツー)アリーナ

 北京五輪代表の鶴見虹子(17=朝日生命ク)が、連日のメダル獲得だ。16日の個人総合銅メダルに続き、種目別段違い平行棒でも14・875点で銀メダルに輝いた。五輪、世界選手権を通じて日本女子の銀と個人総合の表彰台、2個以上のメダルは、いずれも66年世界選手権の池田敬子以来43年ぶりの快挙だった。北京で団体5位入賞の立役者だった女子のエースが、12年ロンドン五輪に向け、急成長を示した。

 体操「ニッポン」は男子だけじゃない。身長140センチと小さなエース鶴見が、勢いに乗って、連日のメダル獲得だ。個人総合の銅メダルで「超びっくり」と話したのに続き、得意の段違い平行棒で銀メダル。「出来は個人総合より良くなかったのでびっくり」と2度目の「びっくり」だ。

 前日の個人総合で「思ったよりもメダルが大きくてうれしい」と、誇らしげな笑みを浮かべた。ドーピング検査が長引きホテルに戻ったのが午前2時ごろ。一夜明けたこの日は、「疲れていた」と、個人総合でマークした15・050点には及ばなかったが、予選の得点を0・100点上回る意地を見せた。

 北京五輪の金、銀の米国勢が休養中とはいえ、ロンドン五輪を見据えた選手がほぼそろった中での2個のメダル獲得は価値がある。特に個人総合で北京銅メダルの楊伊琳(中国)、欧州王者セメノワ(ロシア)に勝ったことは大きな自信につながるはずだ。

 北京五輪の団体5位で、手応えをつかんだ。「私たちだってやれるじゃん。見返してやろうと思った」。高校は通信制に通い、苦手の跳馬を克服する練習を中心に、体操漬けの日々を送ってきた。17歳の誕生日だった9月28日。塚原千恵子監督から「強い心」と書かれたクマのぬいぐるみをプレゼントされた。

 最終日は種目別の平均台に出場する。コーチからは「銅、銀と来ているから、次は金だね」と激励された。「自信がついた」と大きく飛躍した鶴見が、ロンドン五輪の会場でもあるO2アリーナで、日本女子55年ぶりの金メダルに挑む。