<テニス:全仏オープン>◇2日目◇24日◇パリ・ローランギャロス◇男女シングルス1回戦

 “エア・ケイ”が、完全復活した。09年8月の右ひじ手術から復調した世界ランク246位の錦織圭(20=ソニー)が、初出場の全仏で1993年の松岡修造以来、日本男子17年ぶりの勝利を収めた。同58位サンティアゴ・ヒラルド(22=コロンビア)に2-6、4-6、7-6、6-2、6-4で逆転勝ち。09年1月の全豪以来の4大大会で、ベスト16入りした08年全米以来の白星を挙げた。2回戦で同3位ノバク・ジョコビッチ(23=セルビア)と対戦する。

 1年近くもラケットを握れなかった錦織が大逆転勝ちで復活した。「この舞台に戻ってこれて本当にうれしい」。マッチポイントが決まると、右手で何度もガッツポーズ。08年全米3回戦以来の4大大会勝利をしっかりとかみしめた。

 攻守がかみ合わず、2セットを落とした。ヒラルドは前哨戦のイタリア国際で、03年全仏覇者を破った実力者。しかし、錦織は「最初は圧倒されたが、自分から攻めていこうとした」と第3セットから切り替え、得意のドロップショットなどで流れを引き寄せた。

 「マッチポイントでは手が震えた」という。09年の3月の右ひじ故障からツアーを離れて約1年2カ月。休養中は「本当につらい。どうしていいのか分からない」と弱音も吐いた。4月には世界ランクもなくなった。ゼロからのスタートだったが、わずか1カ月で復活勝利に結び付けた。

 2回戦で同3位で08年全豪覇者ジョコビッチに挑む。「ひじの痛みはない。どのぐらい自分ができるか楽しみ」。ぎりぎりで本戦に滑り込んだ08年全米では16強入り。今大会も開始直前に本戦入りしただけに、完全復活したエア・ケイが再び旋風を巻き起こす。