サッカーの元トルコ代表FWで、02年日韓W杯で「ちょんまげ王子」として人気を集めたイルハン・マンスズ(35)が、フィギュアスケートのペアで14年ソチ五輪出場を目指し、特訓を始めたことが29日までに分かった。ロイター通信のインタビューに、恋人で五輪出場の経験があるオレガ・ベスタンディゴワ(31=スロバキア)とともに、1日6~8時間の練習を行っていることを明かした。04年にはJ1神戸でプレーしたイケメンが、再び注目を集めそうだ。

 本気だった。今年8月、イルハンはフィギュアスケートへの挑戦を明言。このほど、生まれ故郷にほど近い南ドイツのオーベルストドルフのリンクで、恋人のベスタンディゴワと本格的な練習に取り組み始めた。スロバキア代表として02年のソルトレークシティー五輪出場の経験があるパートナーに加え、コーチにはフィギュアのペアで3度の五輪出場経験があり、国際スケート連盟後任技術審判員を務めるドイツ人のアレクサンダー・ケーニッヒ氏(44)を招いた。

 イルハンは「1日に6~8時間も練習するけど、2人とも、とても楽しいんだ。僕たちは飛躍的に成長している。だから、五輪を目標に練習することを決めたんだ」と話した。02年W杯後はけがなどで思うようにプレーできず、06年に現役引退。地元トルコなどでスポーツコメンテーターやタレント業を行っていたが、08年、テレビ番組「氷上のスター」に出演したことが転機となった。

 同番組は、有名人がプロスケーターとペアになって数週間特訓し、技術を競うリアリティーショー。その時にペアを組んだのがベスタンディゴワだった。生まれて初めて氷に乗ったイルハンは特訓のかいあって急成長し、見事にその年のシリーズで優勝。共演をきっかけに交際するようになったベスタンディゴワが、もう1度五輪に出場する夢を持ちながらパートナーに恵まれなかったこともあり、相手役に自ら名乗りを上げた。

 「トルコ代表としてソチ五輪で戦いたい」。パートナーのトルコ国籍取得など問題は残り、35歳からの五輪挑戦を疑問視する声もある。出場権獲得のハードルも高い。それでもイルハンの決意は揺るがない。「僕はサッカーを始めるのも遅かった。クラブでプレーし始めたのは14歳だったんだよ。もし、何かを成し遂げようと決心し、やり遂げられると信じ、必死に努力すれば、何歳になっても不可能はないんだ」。芝から氷へと舞台を替え、夢を追い続けている。