<レスリング:全日本選手権>◇23日◇東京・代々木第2体育館

 女子55キロ級で、世界大会10連覇中の吉田沙保里(28=綜合警備保障)が3試合連続フォール勝ちし、大会9連覇を果たした。08年1月の国別対抗戦W杯で敗れたが、個人戦に限ればこれで146連勝。柔道で個人戦144連勝の山下泰裕氏超えとなった。女子72キロ級は浜口京子(ジャパンビバレッジ)が勝って史上最多タイの14度目の優勝を達成。女子63キロ級は伊調馨(綜合警備保障)が2連覇した。

 吉田がキレた。決勝の第2ピリオド。29秒でバックを取られて1点を失った。今年初失点。その瞬間「クソーッと思った。自分に腹が立った」。鬼の形相に一変した。タックルから松川を軽々と持ち上げると、激しくたたきつけてそのままフォールで決めた。あっという間の勝利。「やさしく落としたつもりですよ。でも、勝負の世界はガーンと行かないと」。表彰後は柔和な表情で笑い飛ばした。

 3試合連続フォール勝ちで9連覇。08年1月の団体戦で米国選手に敗れて119で止まった連勝記録は、再び45に伸びた。だが、日本協会は個人戦という限定付きで、01年からの連勝記録を「146」と認定。7引き分けを挟み203連勝の柔道山下氏も個人戦に限れば144で“山下超え”をアピールした。そんな形で記録続行となった吉田は来年のテーマを「進」と表して「記録をつくることは自分の強さになる。(12年五輪の)ロンドンまで突っ走りたい」と宣言した。【今村健人】