<競泳:ジャパンオープン2011>◇初日◇20日◇大阪・門真スポーツセンター

 故障明けの北島康介(28=日本コカ・コーラ)が、復帰初戦となった男子100メートル平泳ぎで2位に入った。先月の国際大会代表選考会で左足内転筋の肉離れを発症したが、立石諒(慶大)に次ぐ1分1秒27のタイムで元気な姿をアピール。7月の世界選手権(上海)に向け、「これで思い切って練習できる」と笑顔を見せた。

 北島の心の霧が晴れた。予選の1分1秒71に続き、決勝でも1分1秒27でゴール。58秒58の自己記録を持つ男からすれば、記録は平凡だ。それでも安堵(あんど)感から「1秒台で1日2回も泳げた。これを前向きに考えたい。おっかなびっくりだったけど、これで思い切って練習ができる」と言葉をはずませた。

 先月11日の国際大会代表選考会の200メートル。飛び込んだ直後の最初のキックで、左足付け根付近の肉離れを起こした。満足な練習ができない中での大会参加だったが、周囲の不安をあっさり一掃した。日本代表の平井ヘッドコーチは「無事に泳いでくれてまずは安心。早く本格的な練習を開始し、夏には五輪切符を決めてほしい」と思いやった。

 ケガが完治したことで、世界選手権への視界が広がった。大会後に拠点の米国に戻る北島は「いい状態で無理ができる。これからの1カ月間は追い込んだ練習ができる」とニンマリ。自らの筋肉を痛めつけるほど強烈なキックに、さらに磨きをかける。「左右対称でバランスよく蹴れるようにしたい」と言う。明日の最終日は200メートルに出場。「もう1回いいイメージを体に残したい」。リハビリ中に伸びたあごヒゲに、「キング」の風格がただよった。【佐藤隆志】