<フィギュアスケート:グランプリファイナル>◇10日◇カナダ・ケベック

 浅田真央の欠場で日本女子ただ1人の出場となった鈴木明子(26=邦和スポーツランド)が、伝統を守った。フリーは3位に終わったが、総合でGPファイナル自己最高となる2位となり、03年から続く日本女子の連続表彰台を死守した。

 鈴木は逆転優勝を狙ったフリーで後半にミスが出た。国際大会優勝は09年中国杯と今年のNHK杯の2度。日本女子4度目の頂点となる自身初のビッグタイトルはすぐそこにあった。それだけに「今日は30%ぐらい。順位はうれしいけど、まだまだできるので複雑な気持ち」。自己最高の2位にも、ため息をついた。

 後半の2つの連続ジャンプが単発になった。「直前の6分間練習で着氷が詰まってしまい、切り替えられなかった」。慎重になった。ここだけで9点以上も失った。優勝したコストナーとは7・72点差。「朝まではすごく良い状態だったのに、これが試合なんだなと思いました」。

 それでも世界のトップが集う舞台で表現力を認められた。118・46点は自己ベストに1・96点及ばないだけ。決して低い点数ではない。母匡子さんが亡くなった浅田が欠場。日本女子ただ1人で大会に臨んだ。長久保コーチからは「最低でも2番以内に」と、03年から続く日本女子の連続表彰台死守を命じられた。「滑りたかったはず」という浅田の思いは、胸に秘めた。そして、浅田も、今季休養の安藤も不在の中、女子最年長が伝統を守った。

 次は昨季逃した世界選手権(来年3月、フランス・ニース)切符を懸けて、全日本選手権(23日開幕、大阪)を迎える。「この試合に向けて練習してきた時間が、ものすごく濃いものになった。シーズン後半に絶対つながる。全日本に向けて、いい起爆剤になったかな」。26歳はまだまだ、進化を遂げている。【今村健人】