<競泳:ジャパンオープン>◇2日目◇26日◇東京・辰巳国際水泳場

 入江が打倒・ロクテに、手応えをつかんだ。男子200メートル背泳ぎ決勝で、入江陵介(22=イトマン東進)が1分54秒80で優勝した。従来の後半勝負のスタイルから脱却。前半から積極的に突っ込み、100メートルのラップタイムとしては、09年の高速水着時代に出した自身の日本記録を0秒32更新した。残り50メートルで失速したものの五輪の金メダルへ、ニュースタイルに成功した。女子200メートル背泳ぎは、前日の100メートルで日本記録を樹立した寺川綾(27=ミズノ)が2分7秒84の自己ベストで制した。

 自らの殻を破った。最初の50メートルを26秒80で入ると、一気に加速した。100メートルのラップタイムは55秒29。3年前の日本記録時を0秒32更新し、昨年の世界選手権金メダルのロクテも0秒21上回った。だが150メートルの通過は1分24秒94と、ロクテから0秒91遅れた。残り50メートル。スパートを仕掛けたが、スピードに乗らない。結局、1分54秒80(日本記録は1分52秒51)に終わったが、果敢に攻めた手応えの方が強かった。

 入江

 やっと(100メートルの)日本新ラップを更新しました。最後の150メートルまではうまく泳げた。残り50メートルからスパートと思ったけど、ピッチが上がらなかった。でも、後半の自分がずっといた中で、少しはその殻を破れたのかな。

 調整なしの強化合宿の途中。スピードが出ない時期であることは、

 承知の上だ。これまで苦杯をなめ続けたライアン・ロクテ(米国)を破って、ロンドンで金メダルをつかむために、前半から果敢に突っ込んだ。ロンドン五輪に向けた、国内最終レース。その壮行大会で、従来にはなかった「ニュー陵介」をお披露目した。

 入江

 ロクテには前半で負けてしまうので、しっかり食らいついて、100の時点で先行しておかないといけない。ロクテのレースをさせず、自分のペースに持ち込みたい。

 そんな愛弟子の姿に、道浦コーチは「8年間やってきて初めてバテてる姿を見た。130まではOK。あとはそれを最後まで持たせればいい。調整すればいいし、ロクテに勝つにはあれくらいで入るのが必要」と力強い口調で言い切った。入江は「150で追いつかれても、最後に競り勝ちたい。そこはうまく調整すれば、楽しみな部分」。昔の自分から脱皮し、ロンドン五輪のシミュレーションに成功した。【佐藤隆志】