全日本柔道連盟(全柔連)の吉村和郎強化担当理事(61)と女子日本代表の徳野和彦コーチ(38)が5日、辞任した。吉村氏はこの日午後、全柔連に辞表を提出。「園田監督が辞任した時に、強化の最高責任者として腹は決まっていた」と説明した。86年から代表の強化に携わってきたが、指導陣の暴力に関しては「私は1回も見ていないし、見ていれば処置をしている」と話していた。

 この日午前に遠征先の欧州から緊急帰国した徳野コーチは、吉村氏から2時間ほど遅れて辞任会見。自身の暴力行為を認め「園田監督と一緒にやめるべきだと思った」と話した。「限界を乗り越えてほしいという気持ちだったが、時代に合った指導法ではなかった」と振り返った。

 ◆吉村和郎(よしむら・かずお)1951年(昭26)7月6日生まれ、熊本県出身。福岡・柳川商高(現柳川高)から日大に進学し、73年世界選手権で軽中量級3位。柔道私塾「講道学舎」のコーチとなって92年バルセロナ五輪金メダルの古賀稔彦、吉田秀彦を育てた。96年9月に女子代表監督に就任し、谷亮子らを指導。06年に上村春樹氏の後任として強化委員長となり、ロンドン五輪で柔道のチームリーダーを務めた。

 ◆徳野和彦(とくの・かずひこ)1974年(昭49)5月1日、愛媛県生まれ。新田高から東海大、神奈川県警。背負い投げを武器に60キロ級で98年アジア大会優勝、同年世界選手権準優勝。五輪3連覇の野村忠宏との争いに敗れ、五輪出場は果たせず。08年にコマツのコーチ就任。11年には国際柔道連盟から「現役最高コーチ」に選ばれた。