ボクシングのロンドン五輪ミドル級金メダリスト村田諒太(27)が、16日にプロテストを受けるプランがあることが9日、分かった。複数のテレビ局関係者が明かしたもので、その模様をフジテレビがゴールデンタイムで放送する計画も浮上。プロテストがテレビ中継されれば異例中の異例なことで、48年ぶりの金メダルを獲得した日本ボクシング界の宝が、満を持してプロの世界に乗り込むことになりそうだ。

 五輪金メダリストにふさわしい最高の舞台が準備されそうだ。テレビ局関係者によると、村田は16日にプロテストを受験するという。別のテレビ局関係者は、フジテレビが一挙手一投足に密着すると説明。全国放送かは未定だが、村田のプロへの第1歩が、お茶の間に届けられることで調整が進んでいるという。プロテストがテレビ中継されること自体が異例中の異例だ。

 試合当日はフジテレビで、高校生初のアマ7冠を達成した日本ライトフライ級6位井上尚弥(19=大橋)のデビュー3戦目が生中継されることが決定済み。通常は1時間枠で終了するノンタイトル10回戦に対し、放送は2時間が確保されている。残りの時間で、村田のプロテストをたっぷり伝える計画が進んでいるようだ。

 村田は、昨年8月のロンドン五輪後に休養に入った。プロ転向の気持ちを固めて、3月末で勤務先の東洋大を退職していた。8日には母校・南京都高の先輩で、WBC世界バンタム級王者山中のV3戦をリングサイドで観戦。12回TKO勝ちを収めた山中の姿に「先輩に勉強させてもらい、刺激を受けました」と決意を新たにしていた。

 その存在は日本ボクシングの夢だ。一般的に日本人ボクサーは身体的な特徴からフライ、バンタムを主戦場としている。世界を争うライバルは170センチ前後の中南米、アジア系のボクサーが中心。しかしミドル級はリミット75・575キロで、身長も185センチ前後の選手がひしめく階級となる。

 世界的に最も選手層が厚いクラスで、日本人の世界王者は元WBA世界ミドル級王者竹原慎二氏の1人だけ。ミドル級の五輪金メダリストのプロ転向は本場米国でも話題になりそうだ。

 この日、村田の関係者はプロテスト計画について「今は何も言えません」とノーコメントを貫いた。しかし「プロボクサー村田」のスタートは着々と進んでいる。ゴールデンタイムでの「プロテスト中継」が実現すれば、新たな伝説の始まりとなる。

 ◆プロテスト

 スパーリング形式の実技試験と、ボクシングの知識を問う筆記試験で構成。1日のうちに、ペーパーテストと2ラウンド程度のスパーリングを行って合否を判定。通例ではテスト翌日に合格者の発表が行われる。