<競泳:ジャパンオープン>◇最終日◇26日◇相模原市立総合水泳場

 先月の日本選手権で史上初の5冠に輝いた萩野公介(18=東洋大)が男子200メートル個人メドレーで1分57秒32のタイムを出し、今大会初の優勝を飾った。疲労の蓄積から大会5日前に右肩痛を発症。欠場の危機を乗り越えて強行出場も初日から3種目で優勝を逃した。それでもレースを重ね復調。ボロボロの状態でも、怪物ぶりを発揮し、最終日に1冠を死守した。

 また常識を覆した。大会前日のギリギリまで欠場を考えていた萩野が200メートル個人メドレーを制した。5位だった昨年ロンドン五輪のタイムを100分の3秒上回る1分57秒32。「一時は階段を踏み外しそうになったが世界選手権へのステップになった」と収穫を得た。

 大会5日前の19日。水中で右肩に痛みが発症した。先月に東洋大入学。文武両道を目指すだけに1日2時間は机に向かう。5冠の日本選手権の疲労も隠せない。強行出場を決めたが、不安だらけの見切り発車だった。

 結果を求める状況ではなかったが、日に日に疲れるどころか復調してきた。日本水連の岩原競泳委員は「直前に練習ができなかった分、レースで泳ぐことが刺激となって筋肉が反応した」と分析。本人も「たたき良化型ですね」とタフぶりをサラブレッドに例えた。

 日本代表の平井ヘッドコーチからは「逆境に強いことはスターの条件」と絶賛された。大会後には世界選手権(7月、バルセロナ)の壮行会が開催。アクシデントをプラスに転じた水の怪物は抱負を色紙に「金」と1文字だけ書いた。【田口潤】