<ラグビー・リポビタンDチャレンジ杯2014:日本33-14サモア>◇30日◇東京・秩父宮ラグビー場

 世界ランク13位の日本が同8位のサモアを破った。CTBで初起用された松島幸太朗(21=サントリー)が、後半30分にトライを決めるなど攻守に活躍した。サモアとは来年9月開幕のW杯イングランド大会1次リーグB組で対戦。主力を欠いた相手とはいえ、収穫ある一戦になった。

 代表では初の秩父宮で、21歳が躍動した。初のCTBで出場した松島は序盤からスピードをいかした走りと鋭いタックルで見せ場をつくる。圧巻は後半30分。相手陣内22メートル付近でノックオンしたサモアのこぼれ球を奪うと「前があいていた」と一気に加速。軽やかなフェイントとステップを駆使し、3人をかわすと、右すみに、勝利を決定づけるトライを決めた。

 本職はWTBとFB。桐蔭学園高時代に花園で史上最長の100メートル独走トライを決めるなど、ランが持ち味だった。高校卒業後、3シーズン過ごした南アで当たりの強さも習得。エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は28日の代表発表会見で「直感で選んだ」とけむに巻きながらも「ランスキルと低いタックルがある」と、実力を認めていた。

 12年11月には南アフリカの20歳以下のユース代表に選出されている。ただ、そこで代表に入ると日本代表の資格がなくなるため断った。日本代表としてW杯に出場するため、昨季途中からサントリー入り。4試合目の代表戦での躍進に松島は「これからもいろいろなポジションをこなして幅を広げたい」と前を見た。

 来年のW杯イングランド大会で同組のサモアには過去2勝10敗と苦戦した。相手は若手中心とはいえ、勝利と新戦力の台頭は意味がある。ジョーンズHCは「成功したいとのハングリー精神がある。加速力もあり、欠かせない」と、21歳に期待を込めた。

 ◆松島幸太朗(まつしま・こうたろう)1993年(平5)2月26日、南アフリカ・プレトリア生まれ。6歳まで南アフリカで暮らし日本人の母とともに日本へ。神奈川・桐蔭学園では10年度全国大会決勝で東福岡と引き分け両校優勝。強豪大の誘いを断り、スーパーラグビーを目指して南アのシャークスアカデミーに留学した。昨季途中にサントリー入団。175センチ、88キロ。