ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(53)が18日、都内の日本記者クラブで会見を行った。ちょうど1年後にイングランドで開催されるW杯を控え、日本ラグビーについて語った。また世界ランク2位の強豪南アフリカとの初戦に向けての意気込みを語った。

 ジョーンズ・ヘッドコーチが12年に就任してから3年がたった。テストマッチで10連勝し、10勝目は強豪イタリアから挙げた。日本代表を世界ランク10位まで押し上げた名将は、日本の強みを出すことに取り組んできた。体格やパワーが重要なラグビーで、小さな日本選手が勝つために「全員で動いて勝っていく」プレースタイルを作り上げた。

 ボール保持に重きを置いた。目指すボール支配率は60%だ。「大切なのはパスとキックの比率。11対1の割合でやりたい。ユニークな日本の形だ」という言葉からも、キープしての試合展開を重視していることが伝わる。そのために必要な選手像を「侍の目と忍者の体を持つ」と表現した。

 常に相手を制圧し、フィールドのどこにいてもチャンスをうかがう目、速くかつ小さなスペースでも動ける体という意味だ。格闘家の高阪剛氏(43)をコーチに呼んで体の使い方を選手に学ばせるなど、練習にも工夫を凝らした。

 このプレースタイルを確立するための課題として「筋力アップと走力アップのコンビネーションは難しい」と、パワーとスピードの両立を挙げた。そのため現在の日本代表は練習がハードだ。朝5時からの走力練習、ウエートトレーニングに始まり、10時からの基礎練習、午後の実戦練習にわたる。「他国のラグビー選手が寝ている時間から練習している」ことで、体格差を補う走力を鍛錬している。今年6月には強豪イタリアに勝利するなど、厳しい練習は結果になって表れた。「正しい方向に向かっている。(W杯で)優勝はわからないが、準々決勝には進出できる」と手応えを口にした。

 W杯は初戦でいきなり優勝候補の南アフリカと激突する。「プレーに関しても常に新しいものを見つける必要がある。これからの12カ月間も楽しみ」。1年後の強豪撃破に思いをはせるように、笑顔で話した。【岡崎悠利】