実施競技の見直しでは、夏季五輪で最大28と定める競技数の枠を撤廃し、開催都市が複数の種目追加を提案できる権利が8日、承認された。東京五輪では野球とソフトボールに加え、スカッシュ、空手にも採用の道が開けた。

 まだ競技復活ではない。00年シドニー、04年アテネ大会の日本代表監督で、日本ソフトボール協会の宇津木妙子副会長(61)は「東京での復活が決定したと勘違いしている人がいる。まだ復帰じゃない。これからが勝負」と、楽観ムードを引き締めるように言った。

 東京五輪への道は開いたが決定ではない。08年北京大会で五輪競技からの除外が決まった。その後も復帰への俎上(そじょう)に載ることがあったものの、実現せず。過去の苦難が「万歳ではない」と冷静な姿勢につながった。

 五輪競技復活へ、競技人口の少なさが、大きな課題といわれてきた。09年にはアフリカで2度の指導者講習会を開催。今年5月には世界野球ソフトボール連盟(WBSC)の理事に就任し、海外の普及に力を入れてきた。国内でも11年にNPO法人「ソフトボール・ドリーム」を立ち上げ、毎週末、ソフトボール教室のために全国を駆け回る。

 真の目標は20年東京限定ではなく、五輪競技としての完全復帰だ。「これから野球におんぶされるのではなく、都道府県協会が1つになって取り組んでいく」と決意を込めた。【田口潤】

 ◆候補事情

 開催都市の組織委は、その1大会に限り「1ないし複数の競技」を追加提案できることになった。現在、候補になっているのが野球・ソフトボールのほか、空手、スカッシュ。11月には都議会が、野球・ソフトボールと、日本が発祥の空手の実施を求める決議を採択している。スカッシュは昨年9月に東京五輪の最終種目候補に残った実績があり、世界的に普及しているのが強みだ。この3競技以外の参入も可能だが、現時点で名乗りを上げる団体はない。