<高校ラグビー:報徳学園36-14日川>◇1回戦◇28日◇花園

 報徳学園(兵庫)が日川(山梨)を破り、出場10大会連続の初戦突破を決めた。前半終了間際に高校日本代表候補のロック井上遼(3年)のトライなどで7-7と追いつき、後半はFW、BK一体の4トライを量産した。前回大会は7人制日本代表CTB梶村祐介(明大1年)ら超高校級選手を擁し、8強入り。スター不在の現チームは“全員ラグビー”で突き進む。

 報徳学園に背番号は関係ない。後半14分、相手ラインアウトからボールを奪取し、3、4度のポイントを経て、最後は24番のWTB浜田がチーム3本目のトライを決めた。同20分には、16番のフッカー加藤のチャージで得たスクラム後に、18番のロック高野がラックサイドを襲って4本目のトライを決めた。

 日川をFW、BK一体で振り回し、36-14。3トライを決めた副将のロック井上は「僕は切り込み隊長ですが、みんな持ち味がある。昨年とは180度違う。全員で走り回って勝ちます」と笑顔を見せた。

 花園8強の昨年は超高校級選手がいた。7人制日本代表だったCTB梶村は今、明大で1年目から活躍する。しかし、今年は前チームから残ったレギュラーが井上、SO田中主将、CTB佐藤天だけ。だから、チームワークを強める。時にはFW48人全員で、食べ放題の焼き肉店になだれ込む。スター不在のマイナスを、団結力でプラスに転じた。

 花園出場41回目で、通算勝利数は39に。「40回以上出て、まだ40勝(に王手)ですか?

 いつも初戦負けばっかりですからなあ」と西條裕朗監督は笑った。だが、それは違う。初戦突破は出場10大会連続となり、過去の9大会という“自己記録”を更新した。

 2回戦で黒沢尻北を破れば、3回戦でAシード国学院栃木とぶつかる公算が大きい。春の選抜大会予選リーグで15-31と完敗した相手。「あの負けから、僕らは始まったので」と田中主将。小粒な軍団が、こつこつ重ねた歴史を背に、リベンジを狙う。【加藤裕一】

 ◆花園通算勝利数

 1位は秋田工(秋田)で131勝。2位は天理(奈良)の100勝、3位は常翔学園(大阪)の86勝。今大会V候補の東福岡(福岡)は57勝で8位。報徳学園はこの日の1勝を加え、39勝で18位。