<ラグビー日本選手権:帝京大31-25NEC>◇1回戦◇8日◇東京・秩父宮ラグビー場
大学選手権6連覇の帝京大がNECに勝ち、同校初となるトップリーグ(TL)から殊勲の勝ち星を挙げた。SH流大(ながれ・ゆたか)主将(4年)が後半35分、試合を決める絶妙のキックで、WTB尾崎晟也(1年)のトライをアシスト。昨年から掲げた「打倒TL」を2年で達成した。06年に早大がトヨタ自動車を破って以来、9年ぶりの勝利。15日の2回戦では東芝と対戦する。
3点差の後半ロスタイム、敵陣内で最後の攻撃を止める。深紅のジャージーを泥だらけにした選手たちはノーサイドの笛を待たず両腕を突き上げた。2年生の時から試合に出続ける流は三度目の正直での悲願達成に「最初のコンタクトでいけると思えた。本当にうれしい」と声を上ずらせた。
息詰まる点の取り合いに流と尾崎がケリをつけた。23-20の後半35分、敵陣内でボールを拾った流が迷いなくゴロで右隅に蹴る。あわてて体を返すNEC守備陣の横を、尾崎が一瞬で抜き去った。不規則に弾むボールをダイブして押さえ、残り5分で8点差。4年生の流には見えていた。「試合が始まってすぐに相手のWTBが前に出ていた。だから、右にスペースがあることはわかっていた。尾崎から声がかかったので蹴った」。1年生の尾崎も「必ずボールをくれると信じて走った」と応えた。ルーキーと主将が力を合わせ、勝利をたぐり寄せた。
流は前夜、なかなか寝つけなかった。日付が変わる前に消灯しても、眠ったのは25時。「わくわくして寝られなかった」。80分間ほぼすべてのボール争奪戦に駆けつけた。武器の速いパス出しは雨でボールがぬれても正確だった。FW陣はNECの激しい圧力に耐え、WTB磯田らBK陣は自陣からしかけて守備ラインを突破した。NECの日本代表SO田村の「流君の動きにチームがついていっているようだった」との言葉が、試合を象徴していた。
いつも勝利に謙虚な岩出雅之監督(56)も「今日は文句をつける日じゃない。粘り強く戦った選手を誇りに思う」とたたえた。次はTLでも「トップ4」と呼ばれる強豪の一角、東芝に挑む。「はじめから全開でいく。もう1度勝ちたい」と流。帝京大の快進撃が始まった。【岡崎悠利】
◆ラグビー日本選手権
今回で52回目。トップリーグのプレーオフトーナメント進出4チーム、ワイルドカード2チームの計6チームと大学選手権上位4校による10チームのトーナメントで争う。96年度までは全国社会人リーグ優勝チームと大学選手権優勝校によるワンマッチ。その後トーナメント制となり、5チーム、8チームなど出場チーム数が変わり、08年度から現行の10チームになった。


