<大相撲初場所>◇14日目◇24日◇東京・両国国技館

 横綱白鵬(23=宮城野)が1敗をキープし、横綱朝青龍(28)との千秋楽決戦に持ち込んだ。大関千代大海(32)に突き落とされた際に相手が「つきひざ」し、運も味方に付けての13勝目。不戦勝だった12日目、相手が足を滑らせた13日目に続き、3日連続で「幸運」の白星となった。持病の腰痛も再発するなど状態は万全でないが、自身初の4連覇と通算10度目の優勝へ、千秋楽2連勝しか見ていない。

 白鵬の表情が変わった。風呂上がり、これまでと同じように笑みを浮かべ、淡々と問いかけに応じていた。千秋楽決戦への思いを聞かれ、いったんは「いつも通り。いい相撲を取るだけ」と返したが、「意地はあるか?」と問われると、思いをはき出した。

 白鵬

 やっぱり1人で頑張ってきましたから。そういう意味で明日こそ、という気持ちはありますね。明日というか今場所ね。

 朝青龍が途中休場した昨年名古屋場所から3連覇中。「1人横綱」として、綱の責任を果たした。秋巡業もフル参加し、朝青龍不在に怒る勧進元に対応。負けたら言い訳できない重圧とともに、角界を引っ張ってきた自負がある。

 運を味方にした。千代大海の右変化に、もろくも体勢を崩した。左を差したが、その差し手を振り払われるように右からの突き落とし。必死に体勢を直した直後に相手が「つきひざ」し、館内の悲鳴は拍手に変わった。「ラッキーでしたね。運がいい」。12日目の琴光喜戦は不戦勝。前日13日目は琴欧洲が足を滑らせた。「幸運3連勝」で、この日の朝青龍Vを阻止した。

 万全ではない。9日目に把瑠都との1分を超える力相撲を制したあと、持病の腰痛が再発した。前日23日には、昨年名古屋場所以来という、はり治療を敢行。巡業で胸を出すたび俵で踏ん張る左足首からは、テーピングが外れない。この日は洗髪し、支度部屋でぶつかる付け人も変えた。気分を変えることで、必死に不安と戦っていた。

 本場所での朝青龍との対戦は、取組後の土俵でにらみ合った昨年夏場所以来。「ドラマつくってやるか。最高のドラマ」。優勝には2連勝が必要で、朝青龍皆勤の場所で逆転優勝した経験はない。しかし白鵬は、3場所続けて賜杯を守った誇りをかけて、朝青龍に立ち向かう。【近間康隆】