元朝青龍のダグワドルジ氏の引退が国際問題へと発展する可能性が出てきた。モンゴル3大紙のウヌトゥ-ル紙、ソニン紙の電子版などによると、同氏の強制的な引退劇から一夜明けた5日、実兄のスミヤバザル氏(36)セルジブデ氏(33)がウランバ-トル市内で相次いで会見。2人は、同氏が知人男性に暴行を加えたとされて引退へと追い込まれたことについて「やっていないことに対して罪を着せられた。弟は相撲の記録を次々と塗り替えていったが、それを面白くないと思った日本相撲協会と日本のメディアが、グルになったことでハメられた」などと批判を展開したという。

 この発言が広まったことで、モンゴル国民の反日感情が高まりつつある。日本の外務省担当者は「国民感情的に、かなり熱くなっているのは事実。ネットにも『日本人は許せない』『日本大使館に石を持って集まれ』といった書き込みがあったことは把握している」と話した。またモンゴルに詳しい日本人関係者によると「同省は直接、同氏(元朝青龍)に会いたがっている。直接『モンゴル国民の感情を収めてくれないか』と働きかけたいようだ」と明かした。

 これに対してモンゴル外務省は「同氏の引退は遺憾だが、モンゴルと日本の関係には影響を与えない」という異例の声明を出した。いずれにしても事態は予断を許さない状況で、一横綱の引退が日本とモンゴル間の火種となる恐れが出てきた。