日本相撲協会が、不適切なかたちで「上申書」を警視庁に提出していた可能性が出てきた。協会の弁護士は15日の記者会見で「個人情報保護法の観点からは、不適切な対応を協会が結果としてとってしまったと判断している。そのことは協会の方々にもお伝えしている」と指摘した。

 上申書は力士、親方ら協会員に協会が実態調査したもので、個人名を記入し、賭博経験の有無、かかわった賭博の種類などを聞いている。武蔵川理事長は14日の締め切りまでに自己申告した者には「厳重注意」でとどめる方針を示していた。しかし、事前の告知がないまま、警察に上申書を提出していた。

 弁護士は「刑事訴訟法197条2項にもとづいて照会をせず、警察に協力するなら大丈夫だろうと、執行部の方が判断してしまって、若干不適切な行動をしてしまった」と説明した。内部調査のために自己申告したつもりが、警察の手に渡り、一部関係者から不満の声が漏れ、訴訟を検討する者もいるという。

 もともと上申書は、警察の提案が発端だった。当初の調査書は賭博の相手を報告する項目などもあった。この時点では弁護士が入り、一部を削除したり、和らげるなどして全51部屋に配布。武蔵川理事長は「全部、ウミは出さなきゃいけない。こういうやり方は批判を受けるかもしれないけど、これをやらないと出ないと思った」と話している。