日本相撲協会が、税制優遇措置のある公益財団法人への移行へ向け、大きなカベに直面した。23日、意見交換会が開かれ、約250人の親方、力士らが、公益財団法人「公益法人協会」の太田達男理事長(77)から説明を受けた。公益財団法人となるには、評議員会を理事会の上位機関とし、すべて外部から委員を招く必要があることなどを指摘された。親方衆からは、戸惑いの声が続出した。

 両国国技館の大広間で行われた意見交換会は、重苦しい空気に包まれた。公益法人協会の太田理事長から約50分間、講演を受けた。プロジェクターを使って説明を受けたテーマは「財団法人日本相撲協会と公益法人制度改革」。相撲協会が今後、目指すべき道について説かれたが、いくつもの難関が待ち受けていることが分かった。

 今後、公益財団法人へ移行するには、13年11月末までに文科省から審査を受け、新制度の組織として認可を受けなくてはいけない。放駒理事長(元大関魁傑)は「ハードルはたくさんある。それを1つ1つ越えていかないといけない。それに向けても、意思統一が必要になる」と話した。

 これまで、理事会の決議事項を、評議員会が承認してきた。しかし、新制度では、評議員会が上位機関となり、株式会社における株主総会の位置づけになる。さらに、親方を中心に約110人が務めていた評議員は、完全に外部でなければならない。ある親方は「今日、それを知った人ばかりだよ。誰がやるの?」とあきれたように話した。

 新制度では、文科省から許可を受けた選定委員会をつくり、3人以上の評議員を選出する。評議員は協会OBでも構わないが、太田理事長は「相撲界出身の人と、外部の人とバランスが取れた方がいい」と指摘する。また、評議員会が理事を選出・解任するため、これまでのような選挙による理事選出はできなくなる。一般財団法人でも基本的な仕組みは同じ。嫌なら、株式会社化か解散しか道はない。

 村山副理事長は「制度改革はどういうものか、いろいろ説明を受けた。協会員全員が趣旨を理解できたと思っている」と話した。協会員の大多数を占める力士出身者には、外部の血を入れることに強い抵抗感がある。だが、公益財団法人として生き残るには、避けて通れない現実を突きつけられた。