<大相撲初場所>◇9日目◇16日◇東京・両国国技館
幕内取組で珍現象があった。春日野部屋と境川部屋所属の力士が、3番続けて対戦した。ともに出羽海一門で、師匠は学生時代からのライバル同士。因縁めいた白熱の「団体戦」は、春日野部屋が2勝1敗で制する形となった。
白熱の部屋対抗戦が幕内中盤から始まった。関取が多い部屋同士だからこそ実現した珍現象。全49部屋のうち幕内を3人以上抱えるのは5部屋だけ。うち2部屋の3人ずつが激突した。まずは今場所ともに5勝3敗の「先鋒(せんぽう)戦」。組んで強い東前頭9枚目栃ノ心(24=春日野)が、押し相撲の西前頭5枚目豊響(27=境川)を右四つから寄り切った。「まわしが取れればね。がっちり取った。よかったよ」。まずは春日野勢が先手を取った。
審判交代をはさんでの「中堅戦」は、高校時代にも対戦経験がある同学年バトルだ。後がない境川勢からは東前頭5枚目妙義龍(25)が登場。先場所は新入幕10勝と勢いに乗る。低く当たって攻めるが、西前頭8枚目栃煌山(24=春日野)の肩透かしに崩れて両手をついた。「しょうがないッス…」。春日野勢2勝で“勝利”が確定した。
この3連戦、取組前から互いの部屋で話題を呼んでいた。春日野親方(元関脇栃乃和歌)と境川親方(元小結両国)は同学年。明大、日大時代からのライバルで、ともに85年春場所に幕下付け出しで初土俵を踏んだ。角界入門後の対戦成績は栃乃和歌の10勝8敗(幕下、十両も含む)だった。師匠となった両者は今も厳格な指導で実力者を育て上げている。
当然、弟子の中にも意識はあった。「団体戦でしょ?
朝から言ってたよ」という西前頭2枚目豪栄道(25=境川)は、西前頭4枚目栃乃若(23=春日野)の再三の寄りをこらえ、右下手投げで一矢報いた。「俺が負けたらどうしようと思ってた」。最後の「大将戦」で意地の勝利だった。
実は“前哨戦”もあった。三段目では春日野部屋の栃港が、境川部屋の佐田ノ国を突き倒し。十両では境川部屋の宝智山が、春日野部屋の木村山を押し出して、こちらは五分だった。春日野部屋付きの清見潟親方(元前頭栃栄)は「関取5人中4人が当たるなんて珍しい。トータル3勝2敗でウチの勝ちですね」とニヤリ。まさに火花散るバトルだった。【大池和幸】
◆対戦メモ
この日のように、3番続けて同じ部屋同士が対戦するケースは、極めて珍しい。日本相撲協会広報部によると「近年では記憶にない」という。1932年の春秋園事件で力士が大量脱退するまでは、出羽海部屋が一大勢力を誇ったため、対戦相手が連続して同じ部屋だったケースは多かったとみられる。

