流れを何とか引き寄せようと動いた巨人が、重要な初戦を取った。相手先発は8連敗中の小川。立ち上がりから足で崩しにかかった。初回1死から8球粘って四球を選んだ田中俊が続くマギーの初球に二盗。失敗すれば流れを手放しかねない中で悠々と成功させ、岡本の先制犠飛につなげた。

そして、何といっても大きかった一手が、5回2死二塁のピンチで投入した上原だ。リードは1点で打席は山田哲。完全に流れをつかめていない局面で、ベテランの技を見せてくれた。球種はスプリットと130キロ台の真っすぐだけだが、投球間隔を短くし、相手に考える時間を与えない。スプリットを2球続けた後の3球目の136キロ直球。山田哲は見逃したが、タイミング的には完全に差し込まれていた。上原の間合いで追い込み、最後は再びスプリットで空振り三振。回をまたいだ6回も、主軸相手に捕邪飛、空振り三振、空振り三振。短期決戦だからこその早めの起用に見事に応えた。続く7回に陽岱鋼が決めたヒットエンドランも、この上原の小気味いいテンポがリズムを作り出した。

CSファーストステージは超短期決戦。流れをつかむには、ミスをいかに減らし、選手個々がやるべき仕事をしっかりやる、という原点がより重要になる。この点でヤクルトには攻守で痛いプレーがあった。リードを2点に広げられた直後の7回無死二塁での荒木のバント処理。好チャージをかけながらも球を捕り損ね、三塁進塁を許した。捕球をしっかり出来ていれば、アウトに出来たタイミング。この結果、4点目につながっただけに惜しまれる。そして、直後の7回の攻撃では、無死一塁で西浦は中飛。点差から打ちにいかなければならない状況ではあったが、フルカウントから高めのカットボールを打ち上げて走者を進められず。反撃ムードがしぼんだ。

ベンチが動き、選手がしっかり応えた巨人が、大きな1勝をもぎ取った。(日刊スポーツ評論家)