日刊スポーツ評論家の里崎智也氏(42)が日本ハムの2軍キャンプを視察。好循環を生んでいるドラフト戦略に着目した。

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沖縄・国頭村の日本ハム2軍キャンプを訪れた。ドラフト2位、野村佑希内野手(18=花咲徳栄)と同4位、万波中正外野手(18=横浜)が打撃練習でのびのびスイングしていた。ともに体が大きく、まだ粗削りだが魅力的。日本ハムのドラフト戦略からは組織力の高さと先見の明を感じる。

強い組織は5年後、10年後を見越してチームを編成する。中田や大田もまもなく30歳。今のレギュラークラスの年齢を踏まえ、世代交代が進んだ時にどこが足りなくなるかを考えて、次世代をしっかり準備する。そこに魅力ある選手がいる。下位指名ならリスクも少ない。対して弱い組織は、選手を取ってからどう起用するか考える。

野村や万波を無理に1軍に連れて行かず、2軍でじっくり育てるのも組織として評価が高い。1位の吉田輝星投手(18=金足農)もそうだが、今使おうと思って指名していない。次世代候補をうまく高校生で編成している。トレードやFAで選手が抜けても、次に出てくる人材を育てている。

そういう戦略がうまいから、チームとしていい成績を残しやすい。この日、中田が左内転筋肉離れと診断されたが、主力が欠けても次を担う若手が出てくる。それは「たまたま」ではない。準備している。だから必ず代わりがいる。日本ハムは危機管理能力が高い。(日刊スポーツ評論家)