まざまざとパ・リーグ首位をいく楽天の底力を見せつけられた。ホームゲームの阪神だが、倉敷、甲子園と、二夜続けて終盤に突き放された。

桧山 いいゲームだったが、楽天の試合巧者ぶりにやられた。一枚も、二枚も相手が上だったといえるだろう。阪神ベンチにとって10回に繰り出された奇襲は想定外だったに違いなかった。

10回。守屋がブラッシュに四球を選ばれた。5番銀次には1ボールからバスターを仕掛けられ、まんまと三遊間を破られた。

桧山 銀次の初球はバントの構えで見送ってボールになった。楽天ベンチとすれば様子見だったに違いない。逆に阪神ベンチはバントで送ってくるとみていたはずだ。さらに楽天のほうは銀次が5回にバントを失敗していたことで、バスターの作戦を立てやすかったといえる。2球目にバスターを決められたのがゲームの流れを左右した。

無死一、二塁になった直後の守屋は、6番ウィーラーに四球を与えたところで交代。代わった能見が無死満塁からルーキー辰己に中前打を浴びて均衡は破られた。

桧山 カード初戦も守屋が8回に勝ち越されていた。ここにきてプロの怖さをさらに感じているだろうし、いかに困ったときに原点といえる外角のストレートでカウントをとる大事さを痛感しているはずだ。この経験を生かして成長してほしい。先発青柳にしても楽天サイドにまったく嫌がられていなかったのは、セ・リーグを相手にした時とは異なった点だった。

これで阪神が苦労して積み立てた貯金は、たちまち1にまで減った。

桧山 この前のオリックス戦にもいえることだが競った展開に持ち込むがモノにできない。我慢強く戦うしかない。【取材・構成=寺尾博和編集委員】

5回表楽天無死一、二塁、ブラッシュに適時打を打たれ同点を許した青柳(右)(撮影・奥田泰也)
5回表楽天無死一、二塁、ブラッシュに適時打を打たれ同点を許した青柳(右)(撮影・奥田泰也)