3回まで完璧だった佐々木を崩したのは、4回に先頭で出塁した日本ハム大田だ。2ストライク目、スライダーにまったくタイミングが合わずに空振り。

バッテリーは当然同じ球で勝負にいくが、見逃せばボールになる外角のベストピッチを左翼へ打ち返した。佐々木のリズムは狂った。

そして一塁を全速力でまわるオーバーラン。弱い打球になったこともあり、スキがあれば二塁を狙うという姿勢だ。気持ちの入ったプレーは、ベンチにも伝わる。一挙4点の攻勢は、大田がつくったといえる。

33打席ぶり安打の清宮も、「打てなかったら…」「期待に応えられなかったら…」という打席での雑念が消えていた。落ちるボールに合わず、フォークを意識すると今度は直球が打てない。自分の形を見失うことは、長いシーズンにはあること。だが4回の打席は、打撃に集中できる状況を、大田ら先輩につくってもらえていた。初球のファウルから迷いがなかった。7回の中飛も変化球にタイミングが合った。純粋に「野球が楽しい」という、少年のような気持ちを思い出すことができれば、結果はついてくる。(日刊スポーツ評論家)