打順を替えて奮起をうながしたり、逆に固定して信頼していることを示したり、やり方は指揮官それぞれだ。今日の巨人は岡本の調子が悪いこともあり、雰囲気を変える意味でも打順を入れ替えたのだろう。全体的には好機で凡退する場面もあったが、1番立岡も4番坂本もそれぞれ1安打はした。岡本にしたって、1安打を含めて5度出塁。ある程度、原監督のもくろみは成功したといえる。

ただ、岡本の調子は少し心配だ。球を引きつけようとし過ぎるあまり、まったく体重移動がないまま打ってしまっている。軸足を固定し、その場でただ回転するような打撃になっているのだ。もっと体の左サイドが投手方向に向かっていくという意識があっていい。

岡本はもともと力があり、そこまで大きく体重移動しなくてもホームランが打てる。ただそれにしても今は移動がなさすぎる。打撃の基本は投手の方向へ踏み出し、体重移動しながら、その力を使ってボールを飛ばすもの。抜いた変化球への対応だって、体が移動しなければ腰が引けたただの手打ちになってしまう。

一方、決勝打を放った阪神の大山は、投手の方向へ向かってグッと踏み込んでいた。岡本同様まだ4番として育ててもらっている段階だとは思うが、今日のところは大山の方が投手へ向かって「打ってやる」という雰囲気も醸し出せていた。岡本は練習からもっと体重移動を意識すべきだ。10~15センチ程度でなく、30センチくらい動く感覚でないとフォームは変わらない。そうやって調子を取り戻してほしい。(日刊スポーツ評論家)