私は第2回WBCで打撃コーチを務め、優勝を経験した。その時も感じたが、やはり初戦は難しい。侍ジャパンには「勝たなければならない」という重圧がある上、あの2度目のWBC以来、世界大会で優勝していない。その分、プレッシャーが大きくなっているのだ。そんな中で相手投手の自滅という形だが、よく逆転勝ちした。2戦目からはもう少し自然体でプレーできるはずだ。

序盤は選手がガチガチだった。鈴木も最初の2打席は体が動かず、どの球を打ちにいくのかも分からないようだった。国際大会で大事なのは、打席に立つ前から打っていく準備をしっかりすること。相手投手の投げるタイミングや、どういう球種があるのかを頭に入れ、自分の中であらかじめ、どの球を打つか決めて打席に入るのだ。

国際大会では、なかなか普段と同じ打撃はさせてもらえない。ボールが変わるし、相手投手は動く球で芯を外そうとしてくる。そういう状況で、日本でプレーしている時のように「何でもかんでもフルスイング」では対応が難しい。吉田正は少し遠くへ飛ばそうとし過ぎていた。小さいスイングをしろということではないが、菊池涼のように状況で打撃や意識を変えることが好打につながる。浅村も無理やり引っ張らずにミートを心掛け、後ろにつなごうとしていた。そういう姿勢で臨めば、次のプエルトリコ戦は大いに期待できる。(日刊スポーツ評論家)

日本対ベネズエラ 1回裏日本1死二、三塁、鈴木は見逃し三振する(撮影・山崎安昭)
日本対ベネズエラ 1回裏日本1死二、三塁、鈴木は見逃し三振する(撮影・山崎安昭)