このままペナントレースが終わってしまうと思えるような試合だった。首位を独走しつつある巨人の逆転候補の1番手は、戦力的に整っているDeNAだと思っていた。しかし、その厳しさを思い知らされた。

嫌な予感がしたのは、最初にDeNAのオーダーを見た時。2番中井と7番大和は、両選手の持ち味を生かせる打順ではない。今試合前まで中井は打率3割1分5厘で出塁率は3割5分1厘。打席数は57と少ないが、それなりに好調なのだろう。しかし機動力は使えないし、小技を駆使するようなタイプではない。一方の大和は、打率2割7分2厘、出塁率3割1分1厘とともに中井より低いが、機動力がある。7番に置き、8番に投手の上茶谷では機動力が使いにくくなってしまう。巨人菅野をまともに打ち砕くのは難しい。戦力的に機動力を使いにくいチームなのに、自ら機動力を封印してしまうようなオーダーだった。

これまでも何度も指摘してきたが「8番投手」のメリットが分からない。2点を追う5回無死一、二塁。この状況で、8番に投手が控える7番には、送りバントすらやらせにくくなってしまう。実際は7番の大和がヒットでつなぎ、犠打以上の結果を残したが、8番上茶谷は空振り三振。9番戸柱の投ゴロの間に1点を奪うのがやっとだった。

7回2死二塁では、8番上茶谷に代打を送ったが、9番だったらもう1イニング投げさせられた。球数は85球で投球内容もよかっただけに中継ぎ投手を1人、温存できた。

DeNAの野球は評論はできても解説が難しい。その裏、パットンが1死から8番に四球を与え、投手コーチがマウンドへ。9番は菅野だから、かなりの確率で送りバント。バントを決められた後、坂本をどう攻めるかの指示なら理解できるが…。9回無死一塁で代走の増田大が送られると、ウィーラーの初球は外角の直球。盗塁されたくないための配球だろうが、勝負どころであまりにも単純すぎる。結果、外角の直球を狙い打ちされ、ピンチを広げてサヨナラ負け。巨人に一泡吹かせてやろうという心意気は感じなかった。(日刊スポーツ評論家)