日本ハムは初回、先頭の西川が出塁すると、続く中島の初球にバスターエンドランを仕掛けた。上沢、千賀の両先発、2番中島ということを考えれば、ほぼバントだろうという状況で意表を突く作戦だった。ファウルになり、この回に点は入らなかったが、ソフトバンクバッテリーの頭には「なにかやってくる」という意識が植え付けられた。

1死一、三塁で清水にまわった2回。セーフティースクイズも予想される中、相手バッテリーは警戒が強くなり、ボールが続いて四球を出した。満塁となって次の西川が決勝打。初回の作戦が、2回の得点につながったといえる。ベンチワークが、千賀攻略の糸口となった。

上沢は序盤にチェンジアップ、中盤にフォークと投げ分け、的を絞らせなかった。変化球が多くなり、中盤以降は相手も狙ってきたが、コースも高さも思い描いた通りに投げられた。あらためて、制球を間違えなければ、狙われても打ち取れるということを証明した投球だった。

この日のソフトバンク戦は、粘って上位に食らいつけるか、ゲーム差を引き離されるか、分岐点となる局面。「120分の1」ではなく「絶対に負けられない」試合だった。ものにできたことは、上位進出に望みがつながる白星になった。(日刊スポーツ評論家、侍ジャパン投手コーチ)

日本ハム対ソフトバンク ソフトバンク先発の千賀(撮影・佐藤翔太)
日本ハム対ソフトバンク ソフトバンク先発の千賀(撮影・佐藤翔太)