4回裏中日2死、秋山(左)は平田の一ゴロベースカバーで接触し転倒する(撮影・上山淳一)
4回裏中日2死、秋山(左)は平田の一ゴロベースカバーで接触し転倒する(撮影・上山淳一)

今季の阪神は大山やサンズ、近本らの本塁打などで派手に勝つこともある半面、接戦になると弱いケースも目立つ。大きな要因はディフェンス面のもろさだろう。この日は秋山と福谷で緊迫した0-0の投げ合い。勝負を分けたのはやはり、ミスがきっかけだった。

4回2死、高橋のゴロを処理した秋山が一塁に悪送球。3アウトチェンジのはずから一転、阿部に先制3ランを浴びた。7回も自身の悪送球で、ほぼ勝負を決める4点目を与えてしまった。どちらも慌てる必要がなかっただけにもったいない。シーズン中も投ゴロ処理などを想定した投内連係の練習を行うが、形だけでは意味がない。その時どこまで、実際の試合を想定してしていたのか、となる。

記録に残らないミスの積み重ねも接戦では響く。アウトにはなったが4回、平田の一塁ゴロでベースカバーに入った秋山と平田が交錯して、ケガをしかけた場面もあった。完全な「二塁ゴロ」をボーアが取りに行ったことで、間一髪のプレーになった。二塁ゴロなら秋山もあわや故障にならない。一、二塁間の弱いゴロはどちらが取るのか、事前の声掛け、確認を怠るとこうなる。

内野陣も簡単に一、二塁間、二遊間を破られる場面がいくつかあった。記録はヒットだが、1歩目の反応の遅さを感じる。試合前のノックを普通に受けていてはダメ。今からできることは、フリー打撃の時に守備位置に就いたりして、実戦に近い打球を処理する打球捕で補っていくことだ。1歩目が遅れて受け身になると失策になりやすい。反応よく攻撃的に守れば、守備範囲も広がり失策も減る。

残り43試合。首位巨人とは9・5差で優勝は厳しい。でもファンのために完全に諦めたともいえない中、来季を見据えた戦いも必要な時期に入ってきた。先発はガルシアの降格で1枠空いた分、岩貞の復帰をはじめ、小川や馬場、浜地らの適性を見てもいい。野手は売り出し始めた小幡が控えのままでは実戦勘が薄れてしまうし、植田や島田、熊谷ら足が速く守れる選手も多い。この日ファームで5本目の本塁打を打った新人の井上に、経験を積ませるのも手だ。彼らにスタメンの1枠を与えた上で、勝ちを目指していく。来季につながるかじ取りも重要だ。(日刊スポーツ評論家)

4回裏中日2死一塁、ボーアは秋山からの送球を後逸する。打者走者は高橋(撮影・加藤哉)
4回裏中日2死一塁、ボーアは秋山からの送球を後逸する。打者走者は高橋(撮影・加藤哉)