ロッテのバッテリーは健闘した。だからこそ、もったいない1敗だった。

6回の攻撃。西武ニールに無安打に抑えられていたが、12球団トップの四球数を誇る打線で中村奨が四球を選び、続く藤岡もバスターエンドランで動いて無死一、二塁とした。いい形をつくり、打率1割台の柿沼は絶対に犠打を決めたい場面だったがスリーバントを失敗。結局、得点は入らなかった。

柿沼は8回無死一塁では犠打を決めたが、ベンチで出迎えられた時に笑顔を見せた。初球もファウルして、先の失敗が頭をよぎってホッとした気持ちも分かる。ただ、勝ち越したわけでもない。試合の流れで言えば6回のミスが痛恨なのは変わらない。捕手というポジションだからこそ、ゲームセットまで、その思いを持ってプレーしてほしかった。

出番の少ない若手捕手なら厳しい注文になる。だが田村の故障もある中で、チームトップの45試合で先発マスクをかぶっているのなら、見せるべき「表情」がある。私も現役の若いころは同じだったが、レギュラーに近づき、責任が増し始めた時に気付いた。気付きが早いほど、ワンプレーの重みを感じるようになり、成長が進む。

田村は9回の守備から就いた。同点の終盤から捕手が代わるのは難しい。ベンチから見る打者の感覚と実際に出た時の感覚が合えばいい。だが、勝ち越していたり、ビハインドなら思い切っていけるが、同点で感覚を探る作業は容易ではない。いきなり初球を二塁打されるも何とか抑えたが、10回も先頭のメヒアに1発を食らった。本来の正捕手の登場で、抑えて当たり前という空気で結果を出すのは簡単ではないが、それでも正解を示すことで評価が高まる。優勝争いで捕手が求められるものは大きい。(日刊スポーツ評論家)

ロッテ対西武 10回表、、マウンドで会話を交わすロッテ沢村(右)と田村(撮影・横山健太)
ロッテ対西武 10回表、、マウンドで会話を交わすロッテ沢村(右)と田村(撮影・横山健太)