せっかく沖縄に来たのだから、回れるチームは少しでも多くと考えてきた。巨人-中日戦(那覇)前に、DeNA2軍(嘉手納)に足を運んだ。ちょうど、今永が立ち投げ、山崎がシート打撃に登板という予定だった。

シート打撃まで2時間以上ある。それなら中日(北谷)居残り組のピッチングを目指したが、途中で連絡が入り、大野雄は午前10時から投げてしまった。「残念」と思いながら車窓を眺めていると、コザで広島のブルペンが目に飛び込んできた。

即断して見にいくと、ちょうど森下のピッチングが始まるところ。森下を生で見るのははじめてだった。フォーム、球筋を見て確かにいいな、とため息が出た。抜けたボールがない。常に低めで、ばらつきがない。捕手のミットの高さは一定で、コースが変わるだけ。自分の体を制御しているから再現性が高い。

早めに嘉手納に戻ると、今永の立ち投げは終わっていた。森下を見られたからと、気を取り直し山崎に集中。打者7人で3三振、1四球、外野フライ2、内野フライ1のノーヒット。ただ、カウント1-1設定で、ボール先行が目立った。

昨季もカウントを悪くしてストレートを打たれていた。課題はまだ克服しきれていない印象だった。山崎のツーシームは、フォークと同じ軌道を描く。このツーシームが明らかなワンバウンドで、打者が手を出さないボールだった。

昨年不振の山崎は、キャンプは2軍調整ではなく、1軍昇格を奪う立場。ストレートの力強さは健在。内角を詰まらせたファウルの時には「よし」と声が出ており、本人もストレートの精度、威力を念頭に置いているのが、伝わってきた。今は本来の姿を取り戻すため、必死に投げている感じがした。

ストレートの制球、キレが上がれば、ツーシームが効いてくる。それが山崎本来の力強いピッチングだろう。ストライク先行させるためのストレート、ツーシームをどんどん実戦で試すべきだ。(日刊スポーツ評論家)