あぁ85年の再現ならず。阪神打線が巨人先発高橋らの前に沈黙し、散発3安打で今季2度目の完封負けを喫した。甲子園で始まる巨人戦3連勝発進なら日本一の85年以来だったが、甘くはなかった。4番大山は開幕から50打席アーチなしの自己ワーストで、期待のドラフト1位佐藤輝も不発でチームの連勝も4でストップ。日刊スポーツ評論家の真弓明信氏(67)が課題を指摘した。

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今季初の巨人戦は2勝1敗だった。主力を大勢欠いた相手との戦いだったが、阪神は初戦、2戦目でついた勢いがウソのようにピシャリと封じ込まれた。

真弓 どちらに転んでもおかしくなかったし、先発が大きく崩れて敗れたわけでもない。初めての巨人戦で2勝1敗をキープできたわけだからね。阪神にとっては、何も痛い1敗ではないよ。ただちょっと気になっているのは、大山のバッティングだ。

3点ビハインドの9回無死二塁。巨人デラロサの150キロ超の外角ストレートに三振を喫した。高めの球を空振りした直後の見逃しだった。先発高橋には3打席とも抑えられた。

真弓 なかなか1本が出ないバッターが陥りやすいんだが、トップから打ち出す際、入らなくていいところに力が入っている。少し左肩が入り過ぎているのも原因だろう。スイングが遠回りしてしまう。差し込まれ気味で、苦しそうに打っているように見えるでしょ。高めの球を打つために、早めに振り出さないといけないと思うから、そうなるのだろう。

巨人戦に入る前の大山は打率1割7分6厘、2打点だったが、2戦続けてマルチ安打で2割台に乗せたばかりだった。だが3戦目は4打数ノーヒットで、自己ワーストを更新する開幕50打席ノーアーチとなった。

真弓 これまでもうちょっとのタイミングで打球が上がっていた打席もあった。やはり上体に力が入ってしまうと下が動かない。それは去年も見受けられた課題だ。7日も甲子園で見ていたが、力が抜けてくるともっとバットはスムーズに出てくる。試合前に、少し下半身でリードすることを意識した練習をした方がいい。ちょっとフォームを修正すれば、上昇してくるはずだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】