秋山には珍しく序盤から逆球が目立った。今季最多の3四球だったが、7回を無失点。日刊スポーツ評論家の中西清起氏(58)は安定感抜群の姿をたたえた。

中西氏 好調ではなかったが、コーナーをきちんと突いて打たせて取る秋山らしい投球だった。鈴木にもカーブを使いながら、内角速球も意識させ、ゾーンをワイドにつかう、うまい配球だった。19年まで7割くらいが外角直球、外角カットボールやスライダーだったが昨季くらいから内角ツーシームを使い始め、内角球が生命線になっている。

開幕ダッシュに成功した要因の1つが先発陣だ。これで先発5連勝。今季の13勝中、11勝を挙げ、先発防御率1・63が充実ぶりを象徴する。長く投手コーチを務めた中西氏は「ローテーションの妙」を指摘した。

中西氏 今年も金曜日に開幕した。6連戦3戦目の木曜日は6人目の先発で、相手先発ももっとも力が落ちる。裏を返せば一番、貯金を作れるポジションだ。昨年11勝3敗で一番貯金した秋山を「6人目」に持ってきたのは、首脳陣は今季、一番貯金を作ってほしい戦略があるはずだ。私もそうだったが週半ばの木曜日や金曜日は救援陣を休ませるためにも長いイニングを投げられる投手を置くのが理想だ。秋山は適役だし、阪神はローテーションをうまく配置した印象だ。

敵が攻略にてこずる布陣になっている。週末の3連戦は長身197センチの藤浪、変則右腕の青柳、196センチのガンケルの登板順だ。

中西氏 とにかく3連戦で相手打線の目先を変えることだ。例えば藤浪の後に同じ右腕の秋山を入れると球速も落ちるし、苦しくなる。相手が嫌がるローテを組むこと。だから西勇の次戦に左腕の伊藤将に投げさせるのも正解だ。次が秋山なら右左右になるからな。ローテは相手との相性や先々の相手投手まで先読みして組む。今年の場合、安定感十分の西勇に6連戦初戦の火曜日を任せ、藤浪を金曜日に配置したことが大きい。開幕から3週間で、誰も登録抹消されず、6人で回るのも珍しいことだ。【取材・構成=酒井俊作】