阪神チェン・ウェイン投手(35)が、古巣相手に移籍後初先発で初勝利をつかんだ。6回5安打1失点と好投し、シーズンでは11年10月2日阪神戦以来3497日ぶりのNPB勝利。

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阪神チェンは「緩」を駆使することで、中日打線を1点に封じた。チェンのピッチングが変化をみせたのは4回から。うまく緩い球をちりばめるようになり、相手打者は140キロ台のストレートが速く見えたことだろう。

3回まで毎回走者を出していたように、ふらふらとどこでつかまるのだろうかといった投球内容だった。しかし、中盤に差し掛かってから変化球を多投するようになり、各打者ともストレートに踏み込めなくなった。

中日時代は速さで押しまくるタイプだった。その後、メジャー移籍するぐらいだったから球威で圧倒したものだ。当時のチェンからすると、すっかりモデルチェンジした。たとえていうならヤクルト石川のような緩急で打ちとるスタイルになっていた。

6回。代打井領の右二塁打、大島二ゴロで、1死三塁。京田の左犠飛で1点を失った。あそこをヒットでつながれるといやな場面だったが、3番ガーバーを三振にとった。トータルで連打を許すことなく、6回を投げきって1失点は立派だった。

このカードに連敗していた阪神だけに、1回に先手をとったのが大きい。2死からマルテ三塁打で、続く大山が初球から打って出ての先取点だから、いやなムードを引きずらずに済んだ。ひと味も、ふた味も違ったチェンの投球を引き出す援護になった。(日刊スポーツ評論家)