主力に新型コロナの陽性者が出て、危機的状況の中で日本ハムの各選手がどんなプレーをするか注目していた。試合は競りながら負けたが、1つのプレーが明暗を分けた。4回1死三塁で西武攻撃の場面。4番中村に中前適時打を許したのは仕方がないとしても、打者走者を二塁まで進塁させたことが、逆転を許す次の2失点目につながった。センター今川の打球処理もよくなかったが(記録は失策)、その間に二塁のベースカバーが遅れたのを見逃さず、中村が思い切って進塁した。これは防げるプレーだったし、こういったところをいかに食い止めるかが、大事になってくる。

今年の日本ハムは危機的状況で自分がどうにかしようという勝利に対する執念が開幕から欠けているように見えるが、この日の大田選手のプレーぶりは素晴らしかった。アウトにはなったが、初回の全力疾走、3回のヘッドスライディング。結果ではなく姿でチームを鼓舞している。中田に当たりが戻り始め、打線も調子が上がりつつある。敗れたとはいえ、大田のようなプレーをする選手が1人でも増えてくれば、今後戦っていける。そういう要素を感じさせる試合だった。(日刊スポーツ評論家)