近鉄、日本ハム、楽天監督だった梨田昌孝氏(67=日刊スポーツ評論家)が阪神新外国人メル・ロハス・ジュニア外野手(30=韓国・KT)の昇格に「待った」をかけた。チーム好調の要因として、マルテ、サンズ両外国人が機能していることからタイミングを見計らうべきと提言した。

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阪神は30試合を消化して貯金12が示すように、投打とも機能してきた。ここまで先発が試合を作ってきた背景には得点力アップがある。またチームに反発力があるから継投もしやすかった。

つまり外国人を含めて投打のバランスが充実している。オーダーも固定され、懸案のセンターラインもほぼ固まりつつある。エラーも出ているが、それも勝ち続けているから目立たない。すべてにいい方向に進んでいる。

ここから交流戦までの戦いは大切になってくる。どのチームも外国人がそろってきたから、これまでとは違った展開になるだろう。それはロハス、アルカンタラの両新外国人がスタンバイする阪神にもいえることだ。

しかし投打の外国人が働いているだけに起用法は容易ではない。ここまで3番マルテ、5番サンズが勝ちに絡んで貢献してきた。ロハス昇格で出番を与えるとなれば、どちらかが控えに回ることが予想される。

だがマルテ、サンズの働きをみていると、今ここでオーダーから外すのは得策ではない。ロハスと外野手でかぶる佐藤輝を外すこともできない。またこのうちの外国人の誰かが代打要員というのも現実的でない。

個人的にはロハスの1軍昇格は遅らせるべきだと考えている。ロハスにはもう少しファームでの調整期間をもうけることで、チームの“型”を崩さず、今しばらく現有戦力で戦っていくのが最善の策だろう。

他球団と比較して、なにもかもがうまくいってるだけに、外国人の起用法にも頭を悩ませる。矢野監督がどのように考えているかだが、うれしい悩みであることに変わりはない。そのやりくりは今後の焦点になってくる。

もっとも交流戦に突入すれば、「DH制」があるので豊富な外国人戦力を有効に活用することが可能になる。だからこそそれまでの同一リーグ戦でとりこぼしをしないことだ。【取材・構成=寺尾博和編集委員】