通算284勝男、阪急・オリックスOB会長の山田久志氏(73=日刊スポーツ評論家)が、今季3度目の完封で16勝目を挙げたオリックス山本由伸を「大人の投球」と高く評価した。25年ぶりの優勝については「リリーフ」が鍵を握るとした。【取材・構成=寺尾博和編集委員】
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山本が素晴らしい投球でチームの首位を支えた。9回を投げきった115球の内訳は、球数の多いほうからストレート、フォーク、カーブの順番で、カットボール、スライダーは言うならば“遊び球”にすぎなかった。
特に要所で落差の大きく曲がるカーブが効果的だった。29人の打者と対戦したうち、9人までが最終球にカーブを投じてのアウトだったことからも、今はどの球種も精度が高い。ソフトバンクも容易に狙い球を絞りきれなかっただろう。
絶対に負けることのできないプレッシャーを背負いながらマウンドに立つのは苦しいものだ。打線の援護に恵まれたとはいえ、ゲーム後半になるとボールが暴れるものだが、山本は安定した制球力で、常に有利なカウントを作った。
わたしから言わせれば完璧ではなかった。それは余力を残し、力勝負をしていない投球からも見て取れた。球数が示すように、最近は三振にも固執していないようにもみえる。自分が置かれた立場を考えて投げる“大人の投球”は成長の証しだろう。
チームは開幕直後に負けが込んでつまずいた時期を考えると粘り強く戦ってきた。福田、宗の1、2番はガッツがあるし、杉本、紅林らが戦力に育ったのは、自分たちの力でレギュラーの座を勝ち取ってきた手応えが自信になっているからだろう。
それは中嶋監督ら首脳陣が我慢しながら潜在能力を引き出し、うまく乗せたともいえる。吉田正が故障離脱した際も、チームは7勝9敗1分けで踏みとどまることができた。T-岡田の再生も大きい。相手から吉田正だけを警戒しておけばいい打線ではなくなっている。
今後はいかにリリーフを駆使し、結果につなぐことができるか。打線の援護によって楽な場面で投入できればいいが、なかなかそういう試合ばかりには恵まれない。そこはベンチの采配にかかってくる。ロッテがつまずいているから「ひょっとして…」と思わせる1勝だった。




