2021年シーズンを5位で終えた中日は立浪和義新監督を迎えてスタートを切った。日刊スポーツ評論家の権藤博氏(83)は立浪中日の来季に向けて「投手・根尾」の可能性について言及した。その真意とは…。

   ◇   ◇   ◇

中日のチーム活動は完全オフに入りました。報道を見る限り、立浪監督を迎えた新体制による新たな取り組みも増えたようで、特に期待の若手に内、外野を問わず新たなポジションをチャレンジさせる取り組みは大賛成。そこでハッと頭に浮かんだのが「投手・根尾」の姿です。

最初に断っておきますが、メジャーでMVPに輝いた大谷選手(二刀流)の背中を追えと言うわけではありません。野手から投手への転向は野手のポジション変更と同レベルで語れませんし、入団してから多くのサポートを受け、継続してきた3年間を否定するものでもありません。ただ、純粋に甲子園で優勝した投手がプロでどんな投球するのかを見てみたい。出発点はここです。

その上で根尾選手の今季の成績を改めて見直しました。1軍で188打席30安打1本塁打、打率1割7分8厘。2軍で128打席17安打1本塁打、打率1割5分7厘です。ドラフト1位で入団。高校を出て3年目とはいえ、これだけ打席を与えられての数字は納得できる結果ではないでしょう。

プロ野球で監督交代による利点の1つは選手を真っさらな目で見直すことができること。今回、野手を複数ポジションに挑戦させた立浪監督の試みも、フラットな目で適性を見極めたいという思いがあったのだと思います。その延長線上に「投手・根尾」へのチャレンジもあってもいいのでは、と考えたわけです。

私自身、投手から野手に転向し、最後に投手に戻って現役を終えました。時代も環境も違いますが、投手だからこそ分かることがある、という部分は不変だと思います。必死で対峙(たいじ)する中で打者心理からタイミングの取り方まで、見えてくるものがあるのです。その実体験こそが私の野球人生を支えてくれました。

新たな指導陣による取り組みもスタートしたはずです。一冬越して来春のキャンプで飛躍につながる手応えをつかむのであれば余計なお世話と笑い飛ばしてくれて結構。ただ、もともと投手をして、高校生で150キロを投げていた選手。故障があったわけでもないようです。プロ4年目は正念場。原点に戻るいい機会になるかもしれません。打撃向上も含め、あらゆる可能性を広げるための提案ですが、野球人として純粋に「見てみたい」という思いも捨てきれません。(日刊スポーツ評論家)

2018年8月13日 沖学園対大阪桐蔭 沖学園戦に先発し、力投する根尾
2018年8月13日 沖学園対大阪桐蔭 沖学園戦に先発し、力投する根尾